心の安らぎを求めて
静けしや まほらの里の 月見酒
私は八十路へ入って三年目。このホームに入居して十五年目になる。ホームの名がフルオブライフ砂丘という老人ホームで英語を使って呼称するのは珍しく、私はすっかり気に入ってしまった。“フルオブライフ”とは英語で、Full of life 「生命力に満々している」と私は訳した。確かに入居されている方々は高齢者が多く、心身ともに健康な方々と思う。平均年齢は八十五歳とか。私はまだまだ若い方である。
句の中にある「まほら」とは古語で「優れた住み良いところ」の意味。浜松の南区、海辺に近く静かな郊外、松林と田園に囲まれている。すぐ近くには日本三大砂丘の一つ「中田島砂丘」。さらにそのすぐ近くの広場では、毎年五月三日から五日の「子供の日」まで、浜松祭大凧揚げ合戦が盛大に挙行され、大変なにぎわいなる。東風が吹けばホームの真上で大凧が乱舞する。
交通の便もよく、国道一号線がすぐ近くを走っており、バスの始発駅へ徒歩二分、乗れば二十分ほどで、市の中心部へ直行できる。
私は妻と死別してから久しく歳月が流れているが、ホームでの共同生活の御蔭で日々恙無く暮らしている。勿論、個室により各人の独立した環境は尊重されており、昼間の生活はまったく自由であるが、夜間は当直職員の管理下におかれる。独居の高齢者ならそれは当然のことである。
ホームは四階建(一部五階建)の頑丈なビル。各部屋はすべて南向き。夏涼しく冬は温暖な建築構造になっている。私は気に入ったこのホームを終の住家にしようと思っている。
思うに残念ながら高齢者を取り囲む社会環境は、安全ではない。悪質な訪問販売、窃盗事件、高額な詐欺行為などが絶え間なくおきている。それから入居者が安心して暮らせるここのホームのセキュリティーに私ども入居者は感謝している。ホームに入居する女性が男性より、はるかに多いのもこんな社会不安が絡んでいると思う。
私は老後の健勝者であるためには、つとめて人と接触することが大切であり、無言の独居ほど認知症になりやすいと言われている。老人ホームの入居者はどこでもそうだが、地域社会との結びつきが弱い。新年会や敬老会はホームの内だけで行われている。町内をあげて祝う会に参加できない。従って地域社会から孤立してしまう危険性があると思う。だから私は積極的に外部の人々と接触するために、カラオケ同好会や俳句研修会に参加しているが、果たしていつまで続けることができるか不安に思っている。
私はそれらのことを意に介さないで、のんびりとマイペースで八十路の坂を一歩一歩登っていくつもりである。
「23年前の開設時に夫婦で入居し、二人の人生を存分に楽しめました。ここを選んで本当に良かったです。」
「元気なときから入居して旅行などを楽しんでいます。急な病気や介護への不安は減り、老後が楽しくなりました。」
「一人で入居しました。新しい仲間ができて楽しいです。夜間も職員がいるので、安心できます。」
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もちつき大会 今日は、もちつき大会。つきたてのおもちをいただきましょう。
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節分 鬼は外、福は内。今年も福が来ますように。
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ひな祭り昼食会 手作りつるしびなと、お人形を飾りました。
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七夕飾り 沢山の願いが短冊にこめられました。
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お菓子作り バナナを入れたホットケーキを作りました。甘くておいしかったです。
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梅酒作りに挑戦 敬老会に皆でいただきます。